第9回 日本認知症予防学会学術集会開催されました。

第9回認知症予防学会学術集会

会期:2019年10月18日(金)・19日(土)・20(日)

会場:名古屋国際会議場

 

杉本八郎教授の研究チームが「第9回日本認知症予防学会学術集会」で発表を行いました。

 

『ツルレイシ抽出物の認知機能改善作用とその作用機序に関するin vivo評価試験』

 

【目的】

ツルレイシ(Momordica charantia var.pavel)抽出エキスの認知症予防効果とその作用機序について、複数の認知症モデルマウスを用いて検証する。

 

【方法】

老化促進モデルSAMP8マウス(オス・3ヵ月齢、各群n=8)に、飲水として0.5%ツルレイシエキス(McB)含有水を使用して3ヵ月間飼育し、その間1ヵ月毎にY字迷路試験を実施して認知機能の推移を評価した。なお対照群には通常の水道水を使用した。また、ICRマウス(オス・10週齢、各群n=5)に10%ツルレイシエキス含有水を10ml/㎏で強制経口投与(対照群には蒸留水を投与)し、さらにアセチルコリン受容体拮抗薬スコポラミンを3㎎/㎏腹腔内投与して認知機能障害を誘発し、Y字迷路試験にて有効性を評価した。

 

【結果】

SAMP8マウスを用いた試験においては、群間に有意差は認められなかったもののツルレイシエキス投与群において認知機能低下(Y字迷路試験における交換行動率の低下)を抑制する傾向がみられた。またスコポラミンによる認知機能障害モデルマウスにおいては、ツルレイシエキス投与群で有意な認知機能改善が認められた。

 

【参考】

SAMP8マウスでは比較的早期(3~4ヵ月)から認知機能の低下が始まっていたが、ツルレイシエキス投与群ではその低下が穏やかになっており、認知機能障害の発症・進行を予防できる可能性が示唆された。また、スコポラミンモデルマウスで顕著な認知機能改善効果がみられたことから、ツルレイシエキス投与によってアセチルコリンを介する神経伝達経路が活性化していることが示唆された。作用機序の更なる解析や有効成分の同定、またヒトでの有効性評価が今後の課題である。

 

【倫理的配慮】

本研究は京都大学大学院薬学研究科動物実験倫理委員会の承認を得て実施した。

 

 

平戸産ツルレイシの開発者の長島孝樹氏が「第9回日本認知症予防学会学術集会」で発表を行いました。

 

『ツルレイシ抽出物によるヒトにおける認知機能と周辺症状の改善作用に関する研究』

 

【目的】

ツルレイシ抽出エキスを使用したサプリメントによる認知症予防効果について検証する。

 

【方法】

要介護度1~5の認知症入所者男女43名を対象に0.5%ツルレイシエキス(McB)含有した錠剤、液体サプリメントを使用し、毎朝夕に各2錠投与。錠剤投与が難しい方には液体を舌下に1プッシュ施し、1ヶ年間継続提供し、1ヵ月毎に要介護度評価、長谷川式簡易知能評価スケール(以後、長谷川式)判定を実施し、さらに周辺症状の観察を評価。

 

【結果】

認知症入所者の内、要介護度1~4の対象群で要介護度4→3、3→2ならびに3→1、2→1の6名の改善があり、要介護度の悪化がないのは26名となった。長谷川式判定では、要介護度4群において6名に3~16点上昇。要介護度3群では10名が1~11点上昇。要介護度2群では7名が1~12点上昇。要介護度1群では8名が3~10点上昇。いずれも有意な認知機能の改善があり、周辺症状に関しては43名に下痢および便秘の改善、食事を美味しく食べる、穏やかになる、関心や意欲が現れ、暴力的な行動等が減り全般的に睡眠時間が長くなり、中でも1名は食事が自力で摂取出来るようになった。

 

【参考】

認知機能と周辺症状、要介護度ならびに長谷川式において認知機能障害における発症・進行の予防ができる可能性が示唆された。現時点では未発表だがツルレイシエキス(McB)にアミロイドβ・タウ蛋白抑制などが確認されており、それら作用から改善されたと考えられる。尚、本研究の詳細な作用機序の解析および同定の評価を同志社大学杉本八郎教授らによってヒトを使った臨床試験で精査される。また、本学会において認知症モデルマウスにツルレイシエキス(McB)による結果として「ツルレイシ抽出物の認知機能改善作用とその作用機序に関するin vivo評価試験」と題して発表する。

 

【倫理的配慮】

本研究は医療法人雅紀会のもと対象者の家族の承諾と協力を得て実施した。

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